この映画で英語を究める!! 裁判劇のクラシック名作
「映画」があなたの「英語」を救う!
この映画で英語を究める!!
裁判劇のクラシック名作
2007-05-24-Thu  CATEGORY: ちょっとシリアスな社会派ドラマ
十二人の怒れる男 十二人の怒れる男
ヘンリー・フォンダ (2006/11/24)
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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密室劇の傑作の登場です。近い将来日本にも陪審員制度が導入とあり、そのような意味でもこの映画は再び話題を呼びそうです。

   12人の怒れる男
   twelve angry men


   アメリカ映画は昔から生きたダイアローグがふんだんに使われています。「法廷シーン」は古くから映画に登場していますが、それは被告原告のやりとりが緊張に満ちたもので、傍聴席にいる人たちと同じ空気を吸っているような気にさせる要素が一層濃いからだと思えます。ではなぜこの映画がひときわ注目される映画となり、今に至って語り継がれているのか、ですね。

   この映画は実際の犯行を直接に描くことをせず、陪審員の「語り」で犯行の再現を試みているところが秀逸なのです。密室劇だからよりかえって映画的になったと評する向きもありますが、密室劇も古くから使われた手法なので、密室そのものがこの映画の「売り」ではないでしょう。それより、動きの少ない、ほとんどスタティックなシーンが続く密室状態が、この映画の骨子となる「語り合い」の躍動感を押し出すこととなり、少年が犯したとされる犯行の「再現シーン」が見るものの心象風景となって如実に表れてくる、これがこの映画の生命力です。

十二人の怒れる男 十二人の怒れる男
ヘンリー・フォンダ (2004/04/02)
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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この映画で英語を究める!! Episode8 12人の怒れる男

■Scene1:この映画の内容■
  
   12人の陪審員たちが、父親殺しの罪状で死刑宣告を受けた17才の少年に対する評決を出す一幕ものです。同じコミュニティから無作為に選ばれた12人が、少年の有罪無罪を巡って甲乙論駁を展開します。いたって簡単なストーリーのように思えますが、話せば話すほど自らを「暴露」させてしまう、元来人間が個人差こそあれ内側にもっている自己顕示欲、もっと底辺で言えば、「動物の縄張り争い」にも似た防衛本能を描いているようにも思えます。そうなると、これら12人全員が主役と言ってもいいほどです。

   ただ番号で呼び合っていた12人、名もない、どこの誰であるかもわからない人間が一同に集まる。少年という軸を中心に、これら12人がグルグルと回り、空虚だった人物が色帯びてくる。皮肉にも、色づけば色づくほど、少年を救うというより「除外」する方向に向く。少年やそれに類する世俗性に対する「反発」がはっきり読み取れる段階に達したとき、空箱だった体が心をもった人間になるのですが、これが「偏見の塊」になっている。少年の犯行を「語り」で再現すると同時に、入り組んだ陪審員の心を描く「ダブル時制」がこの映画ならではの面白さです。
   
   
十二人の怒れる男 十二人の怒れる男
ヘンリー・フォンダ (2004/04/02)
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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■Scene2:この映画の英語■
   
   社会派のシリアスドラマですが、使われている英文は平易なものばかりで、構文と文法だけでいえば高校一年生レベルの英語で網羅できるものばかり!それほど基礎的な英文が重要であるという証です。例えば以下のような英文です。
   
   What do we do now? さて、これからどうする?
   
   It's hard to put into words. 言葉でいうのはむずかしい。
   
   I just want to talk. ただ、話してみたいんだ。
   
   Supposing we are wrong. 我々が間違っている、としたら?
   
   Oh, boy, there's always one. やれやれ、物好きはいるもんだね。
   
   It was a quick idea... ほんの、思いつきなんだが。
      
   英文法、構文、単語、どれを見ても難解なものはありません。ただ言い回しで「なぜ There is always one. が「物好きはいるもんだね」になるのか、字幕を見ただけではピンとこないかも知れませんね。ここがまた英語の語感を鍛える絶好の機会になるのです。

   文脈から「平易な英文」がその使用法如何により奥深い意味をもつセリフに早や変わりするのです。中学で真っ先に習った "How do you do?" を「はじめまして」と丸暗記していたのが、ある日突然「よろしく」になって返ってくるような閃きなのです。
   
   上の "Oh, boy, there's always one." は字幕によると「やれやれ、いつも一人いる」になっていました。これはいわゆる直訳で、このセリフを呆れたように首を横に振りながら吐くように言う陪審員10番の人物はいったい何が言いたいのかを自分なりに探ることができます。列を組めば必ず一人はみ出すヤツがいる、とでも言うのでしょう、状況から「天邪鬼はどこにでもいる」や「だれかがいつもヘソを曲げる」という感覚でとらえても面白いでしょう。とにかく、平易な英文の分だけ自分なりに遊べるのが魅力なのです。
   

十二人の怒れる男 十二人の怒れる男
ヘンリー・フォンダ (2004/04/02)
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■Scene3:この映画から「学びたい英文法」■
   今回は助動詞による「独立用法」というものに触れてみましょう。これは助動詞を使って現在や過去の出来事の「推測」をする方法で、「はっきりとわからない」場合に用いることができる便利な用法です。早速場面を拾って例文を出して見ましょう。
   
   陪審員8番は、他の陪審員11人全員が有罪判決を出したい一方、ひとり無罪を主張します。理由は簡単で、証言に「確証」がないと感じたからです。証言台に立った人間の主張をすべて「真実」であると鵜呑みにしてしまう危険性を8番は感じたのでしょう。「証人と言えど人間だ・・・」と残り11人にこう語りかけます。
   
   "They are only people. People make mistakes. Could they be wrong?"
   
   ああ、なんと平易でかつ力強い英文でしょうか!!
   
   
   今回の独立用法は最後の短い一文、
   
   "Could they be wrong?"
   
です。can の過去形 could がありますが、これは「過去時制」ではなく、現在時制として理解します。なぜ過去ではないかといえば、「過去を匂わす副詞」が他になく、そんなときに助動詞の could や would, might は現在時制として使うのです。和訳を試みると、

   「証人も人間にしかすぎないし、人間は間違いを犯すものだ。だから証人だって間違えることはあるはずだ」
   
これにはディベートに欠かすことができない基本論理があります。つまり
   
   A=C B=C ゆえに A=B 
  
という簡単な理論が底辺にあるので、8番の論証力は揺るぎない、という設定になっているのです。

   could は過去時制のときには「できた」を意味しますが、現在時制のときには「推量」を意味し、「ありえる」となります。英文を直訳すれば「証人だって間違うことはありえるだろう?」となります。あとは自分の感性により、訳を通じた色々なとらえ方が可能なので、ちょっと遊んでみてください。


十二人の怒れる男 十二人の怒れる男
ヘンリー・フォンダ (2004/04/02)
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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■Scene4:今週の「覚えたい英語表現」■

   基本的文法と構文を駆使したこの映画は、どこを切っても学べる表現がありますが、シリアスな社会派ドラマなので、うっとりするようなセリフは残念ながらありません。ただ、「前置詞」を使った日常的なイディオムがたくさん語られています。簡単な表現ほど奥が深く、多様性をもっていますので、様々な状況でつかえるものばかりです。そのひとつを紹介しましょう。
   
   議論が白熱する中、熱さも手伝って陪審員たちはイラついてきます。8番ひとりが無罪を主張していること自体に胡散臭さを感じている男たちに正論は通じません。そこで8番は提案します。もう一度無記名投票を自分抜きで行って、全員有罪判決を押すのであれば、判事に評決を報告する。しかし、一人でも「無罪」主張があればこのまま残って話を続ける、という場面です。
   
   "But if anyone votes "not guilty," we'll stay here and talk it out.
   
とても力のある英文ですね。平易ですが無駄がない。覚えたい表現は最後の

   "talk it out"
   
です。字幕は「もっと話そう」ですが、この表現は「徹底的に話そう」になります。ポイントは前置詞の out ですが、これは副詞として使われています。なぜ「徹底的に」かといえば、みんなが見えないところにある様々な論点を、見えるところに広げようという意識があります。見えないところが "in" であり、見えるところが "out" になります。つまり「内」に隠しておくのではなく、「外」へ広げて見せるのです。議論が見えるように話すということになります。

   では、練習です。イディオムは「リエゾン(音の連結)」が命です。
   
   トオ キィ

   トオ キィ

   トオ キィ


十二人の怒れる男 十二人の怒れる男
ヘンリー・フォンダ (2004/04/02)
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■Scene5:今週の「ちょっと不満、字幕スーパー」■

   魅力的な映画は、同時に魅力的なダイアローグで溢れています。この映画もお互い会ったことがまったくない12人という面白いアングルからの人物設定がなされ、その人物を「語り」によって暴露させる手法をとっていることはすでに書きました。陪審員1番から12番までの面々は声のトーンも違えば話す速さ、使われる語彙、そして微妙なアクセントの違いなど、「語る」魅力を思う存分試せる素材を映画は提供しています。

   ただ残念なことに、英語学習から考えると「物足りなさ」だけではなく「異訳」らしきものもあって、オリジナル英語版と字幕及び日本語吹き替え版を比べると、12人の性格描写が異なってしまうという結果になっているのです。今回は字幕ではなく「日本語吹き替え」で「注文」をつけてみます。
   
   12人の中でもっとも証言を冷静に聞いていた一人に4番がいます。常に注意深く言葉を選び、論理的にわかりやすく語る様は他の陪審員を圧倒します。その4番がひとり無罪を主張する8番に、証言を5つのポイントに絞り1点ずつ「おさらい」します。その会話文の一部を紹介しましょう。
   
   "One. The boy admitted going out of the hosue at 8:00 at the night of the murder after being slapped several times by his father."
   
   「第1点。少年は犯行のあった夜の8時に家を飛び出したと認めている。父親に数回頬を平手で打たれたあとのことだ」
   
というところで4番は6番にさえぎられます。「(アフレコ訳)いやいや、引っぱたかれたんじゃなくて殴られたと言っています。叩くと殴るでは意味が違います」と訂正しようとします。すると、4番は、

   "after being hit several times by his father."
   
と言い直すのですが、ここのアフレコ部分が
   
   「それでは父親に『殴られた』と訂正します」
   
になっているのです。これは原文と大きく異なります。第三者の訂正を受け入れて「殴られた」となっていますが、原文の意味は slapped と言って punched と訂正を受けたのを嫌って、そのどちらをも意味しうる "hit" を使って訂正したのです!hit なら文句あるまい、と言いたいのです。

これは相手の言いなりのままに言語を使うのではなく、あくまで自分の言葉で世界を見聞きしたいという願望の表れが発言に出たのでしょう。「数回父親に『叩かれた』あとで」という訂正は、この人物の性格描写に欠かせないセリフなのです。訂正といっても、忠告をした相手の道理に従って訂正したのではなく、言葉を発する自分に責任を持たなくてはいけないので、訂正したのです。

ただし、「字幕」はこの部分の処理がうまく、「ビンタではなくゲンコだ」と訂正を受けたあと、「とにかく殴られた後だ」と切り返しているところは見事です。もう拙訳は無用です。


   その直後にこのような発言があります。
   
   "Two. He went directly to a neighborhood junk shop where he bought one of those..."
   
   「第2点。少年は直接近くの小道具店に行き、そこで買ったのが・・・」
   
とまで言いかかったとき、5番が補佐にでます。those のあとに続く言葉を添えようとするのです。それが "switchknives"(飛び出しナイフ)です。ところが、4番は自分が言おうとして言えなかった言葉を隣の人物に言われたものですから、これも気にくわない。なので、

   "switchblade knives"
   
と言い変えるのです。このあたりに、言葉に対する自分の信念のようなものを感じさせる人物をよく言い表しているシーンだと思うのですが、しかし、アフレコは

   「飛び出しナイフ」
   「そう、飛び出しナイフ」

と、訂正した5番に同調しただけで終わっています。まあ、拙訳など出さなくてもよいのですが、この4番のこだわりを描くにはやはり、

   「飛び出す『刃』のナイフ」

とどうしても書いて(言って)おいたほうがよいと思えるのです。


   この映画にはまだまだ挑戦的な「訳処」があり、どう字幕、アフレコが施されているか、学習ポイントがたくさんあります。字幕やアフレコをうまく活用しながら、自分だったらどう訳す?とガップリ取り組む学習空間は、自由気ままに楽しめる方法だと思いますが、ひとつ挑戦してみてはいかがでしょう?
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昔の名作って
コメントMikarin | URL | 2007-06-01-Fri 11:38 [EDIT]
昔の名作って、難しそうという先入観が入ってしまって見るのすら躊躇しちゃうことがあります。ましてやそんな名作で英語を聞き取れる自信もないわーなんて弱気になってしまうんですが、今回の映画は基礎的なエッセンスがたくさんあるんですね!!食わず嫌いを反省です。面白ろく読ませていただきました!!
英語は楽しく学ぼう!!好きな映画で楽しく超効率的学習!
コメントクマスケ | URL | 2007-05-27-Sun 05:45 [EDIT]
おはようございます。

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